蛮族 読書漂流記

蛮族 狩男が読書と映画と音楽の世界で迷いまくる七転八倒の日記だよ

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2011.01.25 Tuesday

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チャイルド44

2011.01.18 Tuesday 00:49
トム・ロブ・スミス
新潮文庫

カフカの不条理世界も真っ青な不条理世界を舞台にしたサスペンスである。
しかし、ここで書かれている世界、スターリン体制下のソ連はフィクションではない、リアルなのだ。
過酷な不条理の中で何故人は正義を成そうとするのか?、そしてそこで人は何を見るのか?
海外サスペンスというと途中で中だるみしがちなのだが、二転三転する衝撃のストーリー展開は一度として飽きさせることはなかった。
救いの無い不条理世界の中、一見無関係に見えた、作品中に散りばめられたエピソードが最後に終結していく様は爽快でありながらどこか悲しく、そして本当に哀しい。
最後のシーンがハッピーエンドなのか?それともバッドエンドなのかは読む人によって評価が分かれるところだと思う。
ミステリ・サスペンス | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |

ずっとお城で暮らしてる

2011.01.04 Tuesday 01:50
シャーリィ・ジャクスン
創元推理社

 タイトルだけ見ると、ファンタジーロマンス小説かヴィクトリア朝を舞台にしたメイドさんとか執事の人が出てくる小説だと勘違いされがちだが(そんなのお前だけだ、というツッコミはなしの方向で)、読んでみると最初からその考えの間違いを思い知らされることになる。
これはホラー小説である。
しかも、かなり怖いホラー小説である。
序盤で人間の嫌らしさという現実を見せ付けられ、そしてわずかに落ち着いた描写が流れるかと思いきや、すぐにそれは人間の嫌らしさを見せ付けられる展開に変わり、やがて現実と虚構との間に読者である我々は迷い込むことになる
その迷い込ませ方が実に巧みで、今までの伏線回収などということがどうでも良くなってしまう流暢な語り口と展開、描写は見事としか言いようがない。
この物語のラストはある意味でバッドエンドであり、ある意味でハッピーエンドであるが、どちらにしても薄ら寒いものを感じざるを得ない。

「♪メリキャット お茶でもいかがと コニー姉さん
 とんでもない 毒入りでしょうと メリキャット♪」

どこからか唐突に流れたこの歌だけが、どこか闇夜に消えていく……読み終わった後もそんな光景が頭を離れない。
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真月譚 月姫

2011.01.03 Monday 13:01
大人気同人ゲーム(同人ゲームじゃなくなっているはずだったんだが、結局2011年1月現在、同人ゲームのままである)のコミカライズ化。

最終巻の帯には「原作を超えた」とある。
この言葉に偽りはなく、確かに原作を超えている
そう「直接の原作であるアニメ版」は 超えた出来である。「源流の原作である」ゲーム版を超えているかどうかについては、解釈、見方、考え方、受け取り方等々違いがあるのでなんとも言えない(そもそもメディアが絶望的に違うので比較のしようがない。選択肢のないノベルゲームなら比較のしようも多少はあるが)。

しかし、流石に雑誌連載分から1巻追加してまで完結させただけあり、非常にすっきりとした、また納得のいく終わり方である。
特にエピローグとも言える話は非常に哲学的な話となっており、「漫画は一通りの解釈しか出来ない」と言ったどこぞの議員には読んでもらいたいものだ。

ぜひ、この作者には続編を期待したい。

ところで、この作者は「LUNAR ETERNAL BLUE」を遊んだことがあるんじゃないかと思うんだが、どうだろう?
ホラー | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

スローターハウス5

2011.01.03 Monday 12:52
20世紀を代表するSFの一つ。
今まで読む機会が無かったが、この度図書館で見つけたので読んでみた。
感想としては、「非常に乾いた」作品。しかし、ここまで乾いた作品は古今東西なかなかお目にかかれない。作中で何度も繰り返される「そういうものだ」という〆の言葉に代表されるように、徹底している。
作品は第二次大戦を生き延びた主人公が本国に帰り、幸せな家庭を築き、家族の死と飛行機事故を経て夢と現の世界の狭間に生きるようになるまでの半生を描いた(私はトラファルガー星人のくだりをそう解釈したのだが、どうだろう?)ものだが、わざと時系列をバラバラにしたことで物語を奥行き深いものにしている。
20世紀アメリカを描くというと、ベトナム戦争前〜ベトナム戦争後というくくりで纏められがちだが、第二次大戦前〜ベトナム戦争前も一つのくくりなのだ、ということを思い知らされる。

歴史資料としても文化資料としても重要な一作。
SF | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

とある魔術の禁書目録

2011.01.03 Monday 12:37
1巻だけ読んだ限りでは、非常によく出来た「boy meet girl」の王道的なストーリー。
特にラストは、(かなり読者の斜め上を行く展開の)物悲しい別れのはずなのに、どこか夜想曲のような優しさすら感じる。確かに、この物語が世間に受けているわけがよく分かる。
登場人物も熱血漢の主人公をはじめとして好感が持てる。
続刊を読んでないのでまだ分からないが、この作者の人物造詣に対するスタンスは「本当に悪いやつはいない」ということではなかろうか?

非常に続きが楽しみなので、ちょくちょく読んでみよう。
ファンタジー | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

世紀末オカルト学院

2010.10.09 Saturday 13:21
 面白かった!!……が惜しい

この時代にオカルトについて堂々と(90年代における認識や捉えられ方をベースに)話を語っている点や、テンポのよさ、1話から6話までの展開がそれぞれの主人公について第一印象と、その背景、実際の心情を上手く描いている点など高く評価できて良い。
次回予告で世紀末に流行った音楽を登場人物が歌っている(LOVEマシーンって、もう懐メロなんですね……等の小道具の使い方も良い。
登場人物一人一人が特徴があって、生き生きしている点も良い。
サブタイトルにその物語でキーになる登場人物の名前をさりげなく入れている点も良い。


……のだが、主人公二人にそれぞれテーマを振り分けて物語を語っているのに関わらず、後半で片方のヒロインの方ばかり掘り下げてしまったのでもう一つのテーマが薄れてしまったのが残念すぎる。

この物語の主人公のうち一人、ヒロインのマヤのテーマは「オカルトを楽しむことは悪いことじゃない」である。オウム事件以降、行き過ぎたオカルト批判に対するアンチテーゼと、楽しいことは難しいことを考えずに楽しもうよ、という製作者からの提案でもあると思う。
もう一人の主人公文明(ふみあき)のテーマは「でも自分の人生は自分の足で立てよ」である。ともすれば陥りがちな、超常的なもの(古くは「ピラミッドの予言」、最近だと各種新興宗教やホメオパシーか?)への妄信に対する警鐘であると思う。

この二つが上手くかみ合わさって一つのテーマを構成しているのに、後半7話でマヤの方ばかりがクローズアップされていて、文明の方のテーマが薄れた感が否めない。
最終回で文明が「俺は周りに流されてばかりで自分の足で立っていない」と悩みを口にするのだが、できればこの悩みはもう少し早い回で明確にしておくべきだったと思う。そうすれば最終回の最後の5分間のカタルシスは唐突なものにはならず、もっと楽しめたと思う。

しかし、前述した通り、最終回5分の展開と演出は実に爽快かつカッコいい!!胸が躍る!!
そして、最後のどこか物悲しくも、しかしながら爽やかなラストシーンは単に「良かった」では語りつくせない深さがある。
主人公マヤと文明の本当の意味でのカッコよさが凝縮されている。
特に、ラストシーンでのお父さんの笑っているようにも悲しんでいるようにも見える表情はあらゆる意味で奥が深い。

惜しい点はあるものの、一度観てみて損は無い作品である。
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聖モエスの方舟

2010.09.06 Monday 01:02
 聖モエスの方舟

榎本ナリコ
小学館

激しくつまらない!!

……んだが、これはワザとやっているんじゃないか、と思えてならない。
なぜなら、ここまでつまらないものを出版社が本として出版するはずはないし、ましてや原稿になるまでに編集者が止めるはずだ。だから、これはワザとやっているに違いない。

そう考えると、これは分る人には分る遊びなのかもしれない、と思えてならない。
言われてみれば、漫画の描き方、用語、表現、設定が70〜80年代のそれだ。
なるほど、これは漫画という下地があっての、そしてそれを分っている読者向けのメタ・SF漫画であるに違いない。

が、私にはビタイチ分らないので、やっぱりツマラナイ!!
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ALL YOU NEED IS KILL

2010.09.06 Monday 00:55
 ALL YOU NEED IS KILL

桜坂 洋
集英社スーパーダッシュ文庫

非常に乾いた読後感のSF小説だが、それが良い。
敵についての説明を徹底的に省き、自分の描写に特化した書き方なのが功を奏している。
繰り返される世界からの脱出、というテーマを逸脱することなく乾いた語り口調で淡々と語る点もはまれる。
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放送禁止 劇場版〜ニッポンの大家族 Saiko!The Large family

2010.07.26 Monday 00:26
 放送禁止 劇場版〜ニッポンの大家族 Saiko!The Large family

日本 2009年

フェイク・ドキュメンタリーを語る上で外せない、日本の「放送禁止」シリーズの劇場版第二作。
TVシリーズのPart2の続編。

一見すると、ほのぼの家族ドキュメンタリーでハッピーエンドなのだが、TV版のPart2を観た後で、もう一度見直してみると非常に後味の悪いドラマであることが分る。

特にラストの急展開に向けての伏線があちこちで張り巡らせてあり、その伏線が非常に嫌な意味で視聴者を騙している伏線であることを考えると、正直身の毛がよだつ。
映像で直接語られていない家族の心情と葛藤を、ラストシーンを見た後で考えると、さらに怖さが倍増する。

「世界の人は分かり合えるのではなかろうか」と(表向きの)監督であるベロニカさんが最後の方でナレーションとして言っているのだが、もし、このベロニカさんが全てを分った上でそのコメントを残しているのだと考えると、その「世界の人が分かり合える」方法がどのような方法なのか、考えるだけでも怖い。

今回は「分り易い展開」をモットーとして作られたTV版第二作とは打って変わって分りづらい展開になっているが、やはり「放送禁止」のタイトルはダテではないことが分る。
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ドリフターズ

2010.07.25 Sunday 23:53
 ドリフターズ

平野 耕太郎
少年画報社

「Hellsing」の鬼才 平野 耕太郎が送る異次元世界を舞台にした召還バトル。
相変わらずの平野 耕太郎の暴れっぷりと、迫力のある絵柄に痺れる。
続きが非常に気になるので、「Hellsing」の時のように続きは1年後とかいうのは勘弁してほしいところ。

異次元英雄召還物語……というと、対比として出されるのが「Fate/Stay night」なんだが、これは(現時点では)別物。
「Fate/syay night」が英雄を召還しての戦争を通して、従来の「正義」に対して疑問符を嫌らしく突きつけて、結果答えを出せないまま(と、私は思っているがどうだろう?)いるのに対して、「ドリフターズ」は(今のところ)「正義」とは我侭と勘違いだ、だが、それの何が悪い?と開き直っている率直さに非常に好感が持てる。
やはり、理屈じゃない、という良い意味での力押しの物語が平野 耕太郎の作品の魅力ではなかろうか?

ちなみに、召還バトル物の最高点とは何か?という質問をよくされるのだが、ある意味で「ポケットモンスター」が最高点ということになってしまうのではなかろうか?……いや、うん、私も納得はいかないが
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